計測機器商社のサンステラが、中国SCANTECH社製の産業用3Dスキャナーの国内取り扱いを開始した。この動きは単なる製品ラインナップの拡充ではなく、急速に技術力を高める中国製計測機器と、それを支える国内サポート体制の組み合わせが、産業用3Dスキャニング市場の勢力図を塗り替える可能性を示唆している。
参考: サンステラ、SCANTECH製産業用3Dスキャナーの国内取り扱いを開始 計測分野の提案力を強化(ShareLab NEWS)
分析・見解
価格帯の多様化で中小製造業も導入しやすくなる
SCANTECH製品の国内展開には、大きく三つの意味がある。まず、産業用3Dスキャナーの価格帯が多様になる点だ。これまで、精度の高い産業用3Dスキャナーは欧米メーカーが市場を寡占し、数百万円から一千万円を超える価格帯が一般的だった。中国メーカーの台頭により、同じくらいの精度を持つ機器が半額程度で手に入るようになりつつある。
サンステラのような国内商社が取り扱うことで、購入後の校正(キャリブレーション)、保守、トラブル対応を日本語で受けられる体制が整う。これは中小製造業にとって、導入のハードルを大きく下げる。
3Dスキャナーは形状測定だけでなくデジタル化全体を支える
二つ目は、測定データの使い道が広がる点だ。3Dスキャナーは単なる形状測定の機器ではなく、リバースエンジニアリング(=既存の部品から設計図を起こす作業)、金型の修正、経年劣化の監視、デジタルツインの構築など、製造プロセス全体のデジタル化を支える基盤技術である。
価格が下がることで、これまで一部の工程にしか導入できなかった企業が、複数台を配置して工程間のデータ連携を実現できるようになる。
測定技術者が実機に触れる機会が増え育成環境が変わる
三つ目は、測定技術者を育てる環境が変わる点だ。高額な機器は限られた専門部署にしか配備されず、若手技術者が実機に触れる機会は限られていた。導入コストが下がれば、各製造拠点や研究開発部門に配備でき、実践的なスキルを身につける場が増える。
携帯型レーザースキャナーは海外で現場計測の実績がある
SCANTECH製品は特に携帯型レーザースキャナーの分野で評価を得ており、大型構造物の現場計測や、狭い場所での形状取得といった用途で、すでに海外で実績がある。
ビジネスへの影響
検査時間を三分の一から五分の一に短縮できる可能性
製造業の意思決定者にとって、この展開は設備投資計画を見直す機会になる。品質検査工程で接触式測定器や固定式三次元測定機に頼っている企業は、携帯型3Dスキャナーを導入することで、検査時間を従来の三分の一から五分の一に短縮できる可能性がある。特に多品種少量生産や、試作品の形状検証が頻繁に発生する現場では、投資回収期間が一年未満になるケースもある。
金型のメンテナンス部門でも、摩耗した箇所を数値で把握しやすくなり、故障してから直す「予防保全」から、壊れる前に手を打つ「予知保全」への移行を後押しできる。
導入検討ではデータ互換性や消耗部品の供給体制も確認すべき
導入を検討する際は、測定精度そのものだけでなく、既存のCAD/CAMシステムとのデータの互換性、操作を覚えやすいか、消耗部品の供給体制を確認すべきだ。サンステラのような国内代理店経由であれば、デモ機での事前検証や、自社製品での測定テストができる場合が多い。